「クロ」でも「グレー」でもなく「シロ」です

福島県2日目。

昨日、いわき市に行き、それまでの自分が恥ずかしくなる思いをしました。県会長、幹事長と相談し、今日の予定を変更し、相馬、南相馬に行くことにしました。(急なキャンセルをお許しくださった方々に感謝しています。)


車で阿武隈山系の山道をこえ、やっと平野に着いたところが南相馬の原町でした。ここは福島第1原発の20〜30キロ圏内で、政府より当初は「屋内退避」その後「自主避難」となっているところです。

まず言わなければならないのは、この政府の方針は間違っています。「そこで生活するのはいいが、支援は難しい」という地域で、いま暮らしている人の心情を思えば明らかです。政府はここで暮らす人たちを見捨てるつもりなのでしょうか。


この”20〜30キロ圏内”には法的根拠がありません。私たちも実際にこの区域に入りましたが、誰もチェックしていないし、誰にも止められませんでした。他のところに行くのと全く同じです。20キロ圏内への入り口がしっかり警備されているのとは対照的です。

区域の中はお店のほとんどは閉まっていますが、それでも1、2割程が空いていたのではないでしょうか。数は少ないですが普通に車も走っていますし、人も集っています。

もう原発の問題が生じてから一カ月近くたち、一度避難した住民が少しずつ戻ってきています。最初は7万人以上いた人口が、すぐに1万人程に減ったけど、今は2万人以上が暮らしているそうです。


そこにある病院のスタッフも、原発問題が生じた当初チェーンメールが一瞬にうちに流れ、結局3分の2近くが避難しました。しかし今は多くが戻っており、あとは成長期の子供がいる母親でもあるスタッフが戻ってこれないのが一番の課題だとのことです。

最近のこういった変化に伴い、家は流されたけれど再びこの地に戻った人のための避難所が必要となってきています。実際今になって避難所が増えており、支援の必要性も増加しています。「自主避難」が続けば、これからこそさらなる支援が必要となります。


こういった中で、ここで暮らす人たちの気持ちの中に楔のように刺さってしまったのが、「どうして私たちだけに支援がないのか」という、他者に対する憤りとか不信とか諦めのようなものではないかと感じました。
自分自身も情けないのですが、どうしてこのことに気付かなかったのか。


20〜30キロ圏内は、今も今までも、「クロ」でも「グレー」でもなく「シロ」です。
他の地域より暮らすための注意や工夫は多く必要かもしれません。でもそこで生活しつづけてもよいし、現に人が暮らし続けているのです。
でも、大半はこの地域が「クロ」とか「グレー」だと思いこみ、そこで暮らす人たちを見捨ててきたのではないでしょうか。


このような状況を作り出した、政府の対応は間違っています。避難指示もしくは圏外のいずれかにすべきです。

そして、そこで暮らしている人の視点で行動してこなかった私たちも間違っています。せめて、せめてこれからは、他の地域を同じように、いやむしろこれからより支援が必要となってくる以上、他の地域以上に重点的に支援を行うべきです。