自分も支えられているんだと感じられる目に見えるメッセージが必要

岩手県の沿岸部にいきました。

陸前高田など状況は報道で広く伝えらえている地域ですが、実際にみると思考が止まりそうになりました。毎日この景色を見ても慣れることはないと思います。


東京では桜が咲き始めました。しかしこの地域の今日の天気は春の雪。
海底の泥を撹拌して真っ黒になった津波が襲ったが3週間と少し前。初めは塩水と泥で覆われていたこの地も、乾燥した晩冬の空気が水分を飛ばし、塩が混ざった乾いた土埃でマスクなしでは息もできないようになりました。そこに降った今日の雪は、空中の土埃を吸着させながら車のボンネットにも積もりました。しばらくして雪が水になりそして乾くと残されたのは茶色くなった車。
九州では火山の灰、東京では黄砂、そして三陸で泥埃・・・。



津波は白黒はっきりしています。生きるか死ぬか、今までの生活が残るか失うか。ほんの数センチ差の標高、ほんの数十センチの距離の差で、すべてが変わっていました。せめてこの差がコミュニティーの絆を分断することがないよう祈ります。どうして私の方が生き残ってしまったのだろうと後悔しないでほしいです。

どう考えても、回復まで長い時間がかかりそうです。「支援が打ち切られた時が怖い」と何人もが言っていました。「テレビをつけると災害前と同じ番組がやっていた。全国から災害が忘れられたと思い不安になった」と何人もが言っていました。
少なくとも自分が落ち着いてくつろげる空間が確保されるまでは、非常時です。



会員の一人は、家は残ったものの、1階は浸水ですべての家財がだめになりました。外壁や屋根は大きく破壊され、庭の木には軽自動車がぶら下がり、一面がれきに埋もれていました。敷地も家の中もすべてが泥に覆われていました。
そんな家の前で、その家の持ち主である彼女に会いまいた。我が家に向けた彼女の視線を見るのがつらかった。でも「会いに来てくれてありがとう!」って喜んでくれました。その彼女は、看護職の仲間を励ましに僕らと一緒に歩いてくれました。

病院で避難所で、住民を支えている看護職の活躍はすごいと思います。でもその人たちを支えることも同じくらい必要です。自分も支えられているんだと感じられる目に見えるメッセージが必要です。